今月のコラムは、『高血圧について』です。
★塩分の取りすぎは、高血圧の原因★
日本人の死亡原因の1位は、ガンですが、2位の心疾患と3位の脳血管疾患には、高血圧が深く関与しています。
高血圧は、通常自覚症状がなく、放置してしまうと、ある日突然心臓や腎臓の異変を引き起こす危険性があります。
その高血圧の主な原因は『塩分の摂りすぎ』です。私たちは、健康に過ごすために、塩分の摂取を減らさなければなりません。
食塩の摂りすぎ→高血圧→脳卒中・心臓病・腎臓病
塩分摂取量の目標は、1日6g未満(※日本高血圧学会、高血圧治療ガイドライン2009調べ)
日本人の平均食塩摂取量は、1日約11g(平成20年国民健康・栄養調査結果の概要 健康局総務課生活習慣病対策室調べ)であり、
世界的に見ても日本人は、塩分を摂りすぎています。日本高血圧学会では、1日6g未満を減塩目標にしています。
ヘルシーといわれる日本食、塩分量が問題
日本色は、カロリーについては理想的ですが、塩分の多さが問題です。
下の表のような朝食をとると、1日の目標塩分摂取量である6gに対して、1食だけで5.1gも摂取しています。
(例)
献立 | 塩分量 |
ごはん | 0.0g |
味噌汁 | 1.7g |
さけの焼き物 | 0.9g |
ひじきの炒り煮 | 1.3g |
かぼちゃの煮物 | 0.9g |
きゅうりの漬物 | 0.3g |
合計 | 5.1g |
減塩は、調理のちょっとした工夫で
ダシを濃くしたり、香辛料や薬味(しそ、しょうが、ゆず、とうらがらし等)や酢などで味にアクセントをつけると
減塩しやすくなります。
お味噌汁の減塩のポイントは、具だくさんとカリウム
毎日の献立のなかでも、塩分が多いのがお味噌汁。塩分を減らすポイントは、具だくさんにしてお汁をたくさん飲まないこと。
体から塩分の排出を促すカリウムを多く含んだ具材をいれることです。
【カリウムを多く含む食品(70gあたりのカリウム含有量)】
里芋(448mg) かぼちゃ(315mg) ほうれん草(483mg) わかめ(182mg) 生しいたけ(196mg)
高血圧とは?
長い間、血圧の高い状態が続くことによって、脳や心臓、血管などの臓器が痛んでいく全身性の病気です。
外来での収縮期血圧が、140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上が持続する場合を
高血圧と呼んでいます。糖尿病もある場合には、外来での収縮期間血圧130mmHg以上、または拡張期血圧80mmHg以上になったら
治療を始めましょう。
【降圧目標】(単位:mmHg)
診察室血圧 | 家庭血圧 | |
若年者 中年者 |
130/85未満 | 125/80未満 |
高齢者 | 140/90未満 | 135/85未満 |
糖尿病患者 CKD患者(※) 心筋梗塞後患者 |
130/80未満 | 125/75未満 |
脳血管障害患者 | 140/90未満 | 135/85未満 |
※CKDとは、慢性腎臓病を表します。
早朝高血圧とは?
早朝に血圧が高くなっている状態のことです。
血圧は、起床前から徐々に上昇し始めます。これは、体が目覚める為の準備を行うからです。
高血圧の患者様は、特に血圧が高くなりやすく、これを「早朝高血圧」と呼んでいます。
早朝高血圧は要注意!!
脳卒中や心筋梗塞の引き金になる危険性があります。
早朝は、血管が破れたり、血栓ができやすい時間帯です。その為早朝は、脳卒中や心筋梗塞などの脳心血管病を起こしやすい
時間帯と言われています。実際に、脳心血管病は、早朝に多く発症し、この引き金になっているのが、早朝高血圧と言われています。
心筋梗塞の好発時間帯
心筋梗塞は、覚醒直後に多く発症しています。
脳卒中の好発時間帯
疫学調査(「フラミンガム研究」)より、脳卒中も8:00~12:00に最も多く発症することが確認されています。
血圧自己測定のすすめ
なぜ家庭で血圧をはからないといけないのでしょうか?
・自分でいろいろな場合に血圧を測ってみると、血圧が変動していることがよく分かります。
運動や食事の後、緊張した時は、一般的に血圧は上昇します。ですから、一度だけ測って高くても高血圧とは限りません。
・自宅で測定すると正常値なのに、診察室で医師や看護師に測ってもらうと、血圧が高い人が見受けられます。
どちらの値もその時の正しい値ですが、診察室では、緊張の為に血圧が上がることがあるのです。
この現象は、「白衣高血圧」と呼ばれます。このため家庭血圧での高血圧の基準は、診療所・病院での基準より低めになっています。
家庭での血圧測定のポイント
①上腕ではかるタイプの血圧計がより正確とされ、勧められています。
②腕帯が心臓の高さにくるよう、枕などを使って調節をしてください。
③1~2分座って安静にした後に測ります。
朝は、①起床後1時間以内 ②排尿を済ませてから ③朝食前、服薬前に
夜は、①食事、入浴、服薬、排尿を済ませてから ②就寝前に
家庭血圧では、135/85mmHg以上が高血圧とされています。
血圧は、朝と夜に少なくとも1回ずつ測定し、長期間測定を続けましょう。
血圧のことばかりを気にし過ぎると、かえってよくありません。あまり血圧を気にしないことも大切です。
血圧計は、健康の維持や心血管系のリスクを低下させるうえでも、有効なツールですので、購入をご検討されている方は
薬局スタッフに気軽にお声がけ下さい。
執筆:旭町調剤薬局