薬剤師とは(後編)

僕が用意していた“あるもの”、それはシールでした。

以前、ひろ子さんがくれた猫ちゃんの写真。僕はそれをゲームセンターに持っていき、プリクラのカメラで撮影して何枚かの小さなシールを作りました。

『ええー?!なにこれ?!』

ひろ子さんはとても驚いてくれました。

そしてこの1か月、僕なりに考えていたことをお伝えしました。

『以前、ミーコちゃん(猫ちゃんの名前)のお話をお聞きしたとき、ミーコちゃんのこと早く忘れなきゃって言ってましたよね。でも僕は忘れる必要なんて無いと思うんです。いいじゃないですか、姿が見えなくても。あなたが覚えている限りずっとそばにいてくれてるんですよ。枕元がさみしいならこのシールを枕元に貼って、今日からまた一緒に寝たらいいじゃないですか。忘れちゃったら本当にいなくなっちゃいますよ。』

ひろ子さんは声を殺して、その場で泣き始めてしまいました。

その後、数か月でひろ子さんは、完全に睡眠薬と縁は切れなかったものの、頓服でお薬を飲む程度にまで改善が見られました。さみしい気持ちは変わらないけれど、日常を取り戻すことができたようでした。

『どうしても眠れない時だけ、ミーコちゃんが心配しないようにお薬を使いましょう。お大事になさってくださいね。』

一般的な服薬指導とはかけ離れていますが、ひろ子さんは正しくお薬を使ってくださると思います。

大切なのは“薬”ではなく、その薬を飲む“患者さま”

薬剤師とはどのような存在なのか?

僕がこの1か月間で考え続けた結論は、

“薬剤師とは、お薬を通じて患者様の人生に寄り添う存在”であるということ。

大切なのは“医薬品”ではなく、その医薬品を服用する“患者様”である、ということでした。これは、もしかしたら当たり前なことなのかもしれません。

例えば患者様が睡眠薬を服用するのは何のためでしょうか?

よく眠るため?

確かにそうかもしれませんが、本当の目的は、よく眠ることで今日よりも明日がより良い1日になることなのだと思います。

僕がひろ子さんにお渡ししたのはお薬の情報ではなかったかもしれませんが、今日よりも明日が幸せになるお手伝いはできたんだと思います。

“あなた”という薬剤師が必要です

ひろ子さんが元気を取り戻してくれたように、来局してくれるすべての患者様に今日よりも明日が幸せになってほしい。薬剤師は皆そんな思いで日々、患者様と接していると思います。

しかし現実にはそうはいきません。なぜなら1人の薬剤師がすべての患者様の問題点に気付けるはずがないからです。僕がひろ子さんの問題に気付くことができたのは、たまたま僕の人生経験の中にひっかかるものがあったからだと思います。

けしてシールを作ることが正解ではないし、本当はもっと良い方法があったのかもしれません。

だからこそ、“あなた”という薬剤師が必要なんです。僕には気付けなくても、あなたには気付けるかもしれない。僕とは違う経験をしてきた“あなた”に出会うのを待っている患者様がいるかもしれない。

未来の仲間たちへ

あなたは、どんな薬剤師ですか?

そしてどんな仲間とともに仕事をしたいと思いますか?

もし、近い価値観を持った仲間と、あなただけの経験を活かせる場所をお探しなのであれば、四国メディカルサポートはそのお手伝いができるかもしれません。そう言い切れる根拠はSMSグループの持つ“多様性”にあります。

SMSグループは、薬局事業部のみではなく医療(クリニック、訪問看護)・福祉(グループホーム、デイサービス)・美容・教育(保育)・飲食の事業も行っております。多様な価値観を持った企業であり、それが固定概念の少ない風土を作り出しています。

僕自身が、初めにこのSMSグループという会社に興味を持ったのも“薬局事業だけではない”という点でした。

実際に入社後、薬剤師の暦に関係なく様々なアイデアを提案しやすい雰囲気には正直驚きました。やってみよう、やってダメなら改善しようという空気は、今まで務めてきた会社ではあまり味わったことがありません。

“ごめんなさい”よりも“ありがとう”のほうが多い会社です。

実際に雰囲気を味わうためにも、ぜひ1度見学に来てくださいね。


ある日、少しクスリと笑いながらひろ子さんに言われた言葉があります。

『あなたって、なんだが薬剤師さんらしくないですよね。』

確かに、プリクラを作って持ってくるような薬剤師なんてあまり見たことはないでしょう。しかしその言葉は、僕がわずかでもひろ子さんの人生に寄り添うことができたからこそ頂けたのだと思っています。

皆さまがいきいきと働けること、また、願わくばともに働ける仲間になれることを願っています。最後までお読みいただきありがとうございました。

執筆 ひかり薬局中島田店