忘れられない患者様

今回コラムを担当させて頂きます、香川県高松市にございますココロ調剤薬局シンボルタワー店でございます。

当薬局では、主に糖尿病をメインとしたクリニック様の門前薬局として、日々患者様と向き合っております。

 

今回は、私がこれまでに対応させて頂いた患者様の中で、最も忘れることができない患者様についてお話をさせて頂ければと思っております。

 

その患者様は、50歳半ばくらいの方で、最初はジョギングをしていて、時々つまずくことがある、という症状でした。

最初は大したことがないと思っておられましたが、一向に状態は良くならず、ジョギングする事も難しくなってきました。

病院も転々とされ、原因も中々わからない状況で、県でも有名な大きな神経系の病院に行かれると、筋委縮性側索硬化症(ALS)と診断されました。

診断時は、仕事もされておられ、車も運転されておられましたが、病状が悪化するにつれ、お仕事も退職され、車の運転もできなくなりました。

地元では有名な大企業に勤められておられ、それなりの役職に就かれ、お仕事をされていただ方だったので、お話をお聞きしながら、とても寂しそうに辛そうにされておられました。

ALSは、人によって進行度合が異なりますが、その方は進行が早く、発症から3~4年ほどでお亡くなりになられました。

 

私が薬剤師になって、割とすぐに知り合った患者様で、割と時間に余裕がある時や、休日当番の際にお越し頂いたときは、1時間くらいお話をしたこともありました。

生前の最後の方には、「あなたしかこうやってゆっくりお話を聞いてもらえる人がいないのよ」と仰っておられました。

その患者様のお母さまも薬局に患者様としていらしておられましたが、息子様がお亡くなりになられたときは、いつも元気で、口数の多い方でしたが、涙目になっていたことも、今も忘れられません。

 

薬剤師は、時として患者様の人生に深く関わる事があるということを、これから薬剤師を目指す方や、現在薬剤師として働かれている方に知ってほしいと思い、今回のエピソードをコラムにしました。

 

今皆さんが、一生懸命取り組んでいる事柄が、実際の現場で必ず活躍する時がきます。

私たち薬剤師は、何百人、何千人と多くの患者様の対応をします。その中のごくわずかかもしれませんが、その患者様にとっての忘れられない貴重な存在になることができます。

そういった仕事に就けることは幸せな事だと思います。

薬剤師を目指している学生の方は、今はきっと勉強や実習で大変だと思います。大学6年生だと国試や卒試の準備で気が狂うほど勉強しますよね。

そういった試練を乗り越えて慣れる薬剤師という職種には、それなりの魅力があります。

心が折れそうなことも多いと思いますが、是非最後まで諦めずに頑張って頂きたいです。心からエールを送ります。

そして、願わくば、同じ会社で共に薬剤師として働けることを楽しみに待っております。

 

最後まで、御覧頂きまして、誠にありがとうございました。

 

執筆担当:ココロ調剤薬局シンボルタワー店