ウィルス性胃腸炎について

今月のコラムのテーマは、「ウィルス性胃腸炎について」です。

(冬から春にかけて流行)

私どもの薬局でも、冬から春にかけて、嘔吐や下痢、腹痛などの胃腸炎を訴える小児患者の処方箋が増えてきます。

この時期の胃腸炎は、主にノロウィルスやロタウィルスなどのウィルス由来で引き起こされることが多く、脱水や発熱などの症状が見られることがあります。

特に1歳以下の乳児では、症状の進行が早いのが特徴です。

ほとんどの胃腸炎は、2~3日程度で改善する事が多いのですが、下痢や軟便は1週間ほど続くこともあるようです。

                                                                                                      

(感染経路)

ウィルス性胃腸炎の主な感染経路は経口感染です。

〇感染者の便や嘔吐物に触れた人を介して、ウィルスが口に入る場合

〇感染者の便や嘔吐物の乾燥物からウィルスが空中に浮遊し、吸い込む場合

〇感染者の調理により食品を汚染した場合

 

(薬局では)

ぐったりしているお子様や比較的元気なお子様もいるのですが、よく見かけるのは、兄弟、姉妹で来られ、同じような処方内容の薬が出されることが多いことです。

【よくある処方】

Rp1)ミヤBM細粒   〇〇g  分3

Rp2)アンヒバ坐剤(〇〇mg) 1回〇個 発熱時(又は、頭痛時、腹痛時など) 6時間以上空ける。

Rp3)ナウゼリン坐剤(〇〇mg)1回〇個 嘔気がある時 10時間以上空ける。

 

ここで雑学!!

薬剤師にはお馴染みのRp) これは「レシピ」の意味なんですよ。薬剤師はある意味、名料理人?なんです。味付けはいつも同じですが….

 

感染を起こして下痢が始めると腸内細菌のバランスが崩れるため、それを整えるために、Rp1)のように整腸剤が使用されることがあります。

また、発熱や頭痛、腹痛などを伴うこともあり、その場合には、Rp2)のように解熱鎮痛剤が使用されることがあります。

Rp3)のように吐き気止めが出されることがあります。

なお、下痢症状があっても止痢薬(腸管蠕動抑止薬)は、処方されないのが一般的なようです。

これは、腸管からのウィルス排泄を遅らせてしまうためです。

 

(脱水症対策-脱水予防-)

《ウィルス性胃腸炎の治療は、脱水予防が基本》

残念ですが、現在のところ、ウィルス性胃腸炎を治す特別な薬はありません。

胃腸炎の治療は、嘔吐や下痢により失われた水分を補充し脱水状態に陥らないようにする対症療法が基本になります。

そのためには、経口補助液などで適度な水分や糖分、ミネラルを補給することが大切です。

薬局でもOS-1やアクアソリタゼリーを店頭販売しています。ご興味のある方は、気軽にお尋ねください。

(OS-1の1日あたりの摂取目安量)

幼児:300ml~600ml

乳児:体重1kgあたり30ml~50ml

 

(乳幼児の保護者様へのお願い)

ウィルス性胃腸炎では、症状が落ち着いた後も便などからウィルスが排出されます。

お子様には、日頃からしっかりと「手を洗う」ことをご指導ください。

脱水を疑う症状には、「元気がなくぐったりとしている」「笑わない」「顔色が悪い」「おしっこの量が少ない」等が挙げられます。

これらのサインを見逃さず、さらに嘔吐や下痢症状があれば、すぐに受診することをオススメ致します。

ウィルスは、胃腸炎を引き起こすだけではありません。他にも、インフルエンザウィルスやコロナウィルス、口の周りなどに痛みのある小さな水疱が発生する単純ヘルペスウィルスなど、さまざまなものがあります。

お薬や疾患などについて、疑問や不安がある場合は、いつでも薬局スタッフにお気軽にお声がけ下さい。

 

執筆:ココロ調剤薬局木太店